研究概要 |
絶体的免疫電顕法とはイムノブロット法などを用い,生化学的に測定した細脱内抗原タンパク質の分子数とプロティンA-金コロイド法で標識した金コロイド粒子数との関係を求め、免疫電顕法によって超薄切片上で抗原タンパク質の絶体数を推定する方法である。我々はチトクロームP-450,Na,K-ATPaseならびにdinitiophonal(DNP)に対する抗体を用いて研究を行った。1)P-450:フェノバルビタール(PB)透導型P-450(P-450IIB)に対する特異抗体を作製し、幼若雄ラット肝を材料を用い解析した。先ずLR・White包埋超薄切片上でP-450IIBを金コロイド法で検出し、PB誘導によって50倍以上に誘導されることを確認した。次に24時間ごとにPBを投与したラットからO(注射前),8,24,48,72時間目に肝より粗面ミクロソームを調製し,P-450IIBの量をイムノブロット法で定量した。他方同じ粗面ミクロソームを固定後LR-Whiteに包埋し抗P-450IIB抗体を用いて金コロイド法で染色し小脱体膜1pm当りに結合した金粒子の数(粒子密度N)を求めた。その結果,両者の相関係数は0.99で,NはP-450IIBの量と正確に比例することがわかった。なお標識効率は約20%であったが、P-450IIBに対する抗体がグルタールアルデヒド固定に弱い点を考慮すると、この効率は予想以上に高いと言える。本実験によって絶体的免疫電顕法が可能であることが証明された。2)DNP抗体を用い,DAMP法で電顕レベルでリソソーム内のpHを測定し、このpHがFITC-デキストラン法で蛍光顕微鏡的に測定した組とよい一致を示することを証明した。本研究からこの系も絶体的免疫電顕法が成立するか否かを検定する目的で使用し得ることがわかった。3).Na;K-ATPaseについては相対的免疫電顕的解析をラット腎尿細管上皮細胞,涙線と前庭上皮細胞で行った。
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