生理活性ペプチドC末端アミド化に必要な二つの酵素の遺伝子組換えによる量産と再構成

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03557016
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 岡本 宏 東北大学, 医学部, 教授 (60025632)
• 研究分担者: 那谷 耕司 東北大学, 医学部, 助手 (90202233) ; 米倉 秀人 東北大学, 医学部, 講師 (80240373)
• キーワード: ペプチドC末端アミド化 / ペプチドC末端アミド化酵素 / ペプチジルグリシン水酸化酵素 / モノオキシゲナーゼ / ヒスチジン / 部位特異的変異法 / 発現ベクター / 水酸化グリシン脱アルキルアミド化酵素

研究概要

ペプチドホルモンや神経ペプチドのC末端アミド化の技術は、未だ化学的にも酵素的にも成功していない。本研究の目的は、ペプチドC末端アミド化に必要な二つの酵素(ペプチジルグリシン水酸化酵素と水酸化グリシン脱アルキルアミド化酵素)を遺伝子組換え法を用いて別々に産生した後、再構成系を確立してペプチドC末端のアミド化を初めて可能にすることである。平成4年度の研究計画は計画どおりに進行し、以下の成果が得られた。
1.ペプチジルグリシン水酸化酵素をコードするcDNAを組み込んだ発現ベクターを導入したCOS細胞では、分子量44,000の組換え型酵素が産生されていることが明らかとなった。
2.ペプチジルグリシン水酸化酵素と水酸化グリシン脱アルキルアミド化酵素各酵素のN端側、C端側、中央部分のそれぞれから短い領域を欠失させた変異体酵素を作製して活性を測定し、酵素活性を持つ最小限の蛋白領域を特定した。
3.ペプチジルグリシン水酸化酵素中のアミノ酸残基を、点突然変異法を用いて異なるアミノ酸に置換した変異酵素を作製して活性を測定した結果、ペプチジルグリシン水酸化酵素の活性発現には五つのヒスチジン残基が必須であることが明らかとなった。
4. ^<18>Oを用いた実験から、ペプチジルグリシン水酸化酵素反応はモノオキシゲナーゼ反応であることが、初めて証明された。

研究成果

• [文献書誌] Noguchi,M.: "The source of oxygen atom in the α-hydroxyglycine intermediate of the peptidylglycine α-amidating reaction." The Biochemical Journal. 283. 883-888 (1992)
• [文献書誌] Takasawa,S: "Cyclic ADP-ribose in insulin secretion from pancreatic cells." Science. 259. 370-373 (1993)
• [文献書誌] Nata,K.: "Structure determination and evolution of the chicken cDNAand gene encoding prepropancreatic polypeptide" Gene. (1993)
• [文献書誌] Kohri,K.: "Cloning and structural determination of human peptide YY cDNA and gene." Biochim. Biophys. Acta. (1993)
• [文献書誌] 安斎 高穂: "ヒト繊維芽細胞種NB-1におけるペプチドホルモンC末端アミド化酵素遺伝子の発現誘導." 生化学. 64. 865- (1992)
• [文献書誌] 米倉 秀人: "ペプチドホルモンC末端アミド化酵素活性中心.-部位特異的変異法を用いた解析-" 生化学. 64. 866- (1992)
• [文献書誌] Okamoto,H.: "Mechanisms of destruction of insulin-secreting cells.in Nutrient Regulation of Insulin secretion.(Flatr,P.R.,ed.)" Portland Press,Colchester,England., 387-406 (1992)
• [文献書誌] Unno,M.: "Islet B-cell regeneration and reg gene.in Pancreatic Islet Cell Regeneration and Growth.(Vinik,A.I.,ed.)" Plenum Publishing Crop.,New York,London,Washington DC,Boston, 61-66 (1992)