研究分担者 |
山岸 明男 湧永製薬(株), バイオ研究所, 主任研究員
太田 伸生 岡山大学, 医学部, 助教授 (10143611)
根岸 和雄 岡山大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (70116490)
石井 明 国立予防衛生研究所, 寄生動物部, 部長 (40012752)
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研究概要 |
マラリアの樸滅に寄与すべくマラリア原虫種を迅速且つ簡便に識別診断するDNA診断法を構築しマラリア高度流行地で試行し好成績を得た。その結果,従来の顕微鏡より感度及び精度共に優れている事が判った。以下,我々が開発した二方法について概要を記す。〔1〕Enzymatic detection of PCR products(ED-PCR)法・熱断熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)と三日熱マラリア原虫(P.vivax)の18SRNA遺伝子をターゲットとして、両原虫の共通な塩基配列の標識プライマーを用いてPCRを行ない、増幅産物を酵素抗体法により発色させて検出した。本法はビオチン及びジニトロフェニル基で標識したプライマーでPCRを行い,増幅産物をストレプトアビジン固相化プレート上に捕足し,アルカリホスファターゼ標識抗ジ-トロフェニール抗体と反応させp-ニトロフェニルリン酸を用いて黄色に発色させる。検出感度はマラリア原虫100個/10ml(全皿)であり診断には4時間を要した。 〔2〕Micnoplate hybridizafin法:ビオチン標識プライマーを用いてPCRを行い,増幅産物を,熱帯熱及び三日熱マラリア特有の18Sリボゾーマル遺伝子DNA配列を固相化したプレートにそれぞれ加え,ハイブリダイゼーションを行った後,アルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジンを加え,ED-PCR法と同様に発色させる。この方法を用いると三日熱マラリアと熱帯熱マラリアをそれぞれ識別判定できる。検出感度はED-PCR法と等しかった。近年増加しつつある輸入マラリアの症例を上記DNA診断と行った結果,臨床診断の結果とよく一致した。また卵形マラリア原虫(P.ovale)をED-PCR法で診断できる事が判かり、DNA診断法に用いる塩基配列も決定する事ができすでに,報告のある四日熱マラリア原虫の塩基配列を用いて、ヒトに感染するマラリア原虫すべてを識別診断できるシステムの構築を行っている。
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