研究課題/領域番号 |
03557021
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中根 明夫 北海道大学, 医学部, 助教授 (30164239)
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研究分担者 |
佐藤 雄一郎 東レ(株), 基礎研究所, 主任研究員
小華和 柾志 北海道大学, 医学部, 助手 (90234806)
浅野 美佐子 北海道大学, 医学部, 助手 (90202598)
皆川 知紀 北海道大学, 医学部, 教授 (40001903)
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キーワード | MRSA / 黄色ブドウ球菌 / LPS / IFN-γ / サイトカイン / 致死感染 / 予防 / 治療 |
研究概要 |
前年度、黄色ブドウ球菌(MRSA)感染マウスにおいて、抗インターフェロン-γ(IFN-γ)単クローン抗体(mAb)前投与し、IFN-γを含むサイトカイン・カスケードを遮断することにより、致死感染において明確な延命効果を示すことを報告した。本年度はさらに、抗IFN-γmAb予防、治療効果について検討を行った。対照群では、感染3日目から斃死が始まり、感染7日目で全例斃死する条件を用いた。抗IFN-γmAb投与は感染2日目以前に投与すると有意に致命率が低下し、抗IFN-γmAbはMRSA感染症において、予防だけではなく治療効果を示すことが明らかになった。抗IFN-γmAb投与群では、化学療法剤を与えなくても、明らかに血液、脾臓、腎臓中の菌数は減少していた。従って、本研究は、化学療法剤の併用により、MRSA致死感染を完全に治療できる可能性が示された。抗IFN-γmAb投与によるサイトカイン・カスケード遮断は、大腸菌によるエンドトキシン・ショックモデルでも効果を示し、エンドトキシン投与後でも、IFN-γが誘導される以前に抗IFN-γmAbを投与することによりエンドトキシン・ショックによる致死からマウスが逃れることが出来た。一方、ヒトモデルマウスを作成するためSCIDマウスへのヒト末梢血リンパ球移入実験を行ったが、全身感染系を行うに堪えうるシステムの完成には至らなかった。いずれにしても、本研究でIFN-γを介するサイトカイン・カスケードの遮断による重症MRSA感染症の予防・治療の可能性が示されたので、今後さらに臨床応用への研究の早急な継続が必須である。
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