研究課題/領域番号 |
03557025
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
布上 董 九州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (20038649)
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研究分担者 |
梅村 創 九州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (90136432)
梅根 健一 九州大学, 医学部, 助教授 (70127984)
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キーワード | パルボウイルスB19 / 抗原エピトープ / 合成ペプチド / 細胞培養 |
研究概要 |
パルボウイルスB19は、現時点においても、その実験室的ウイルスの増殖ができず、診断用抗原は分子生物的な手法による作製が試みられ、製品の試作、比較検討が行われている。本研究ではウイルス粒子の増殖は、ヒトの臍帯血から得た単核細胞でも可能である。ただし、骨髄単核細胞の浮遊培養によるウイルス量を超えない。選択的に赤芽球系前駆細胞(CFU-E)を増殖させてウイルスを接種しても、増殖量が増加しない。従って、大量のウイルス粒子を収穫することは、倫理的に問題なく入手可能な臍帯血細胞を用いても、容易でない。 パルボウイルスB19の、Shade ROらの解析によるVP2全領域とVP1の重点的な領域から、20個ずつの合成ペプチドを作製し、感染した人の血清に対して反応性を示す、抗原エピトープ部位を選択した。それを修飾し、より強い抗原性を示す合成ペプチドを準備し、抗体反応性の立ち上がり、ピーク、持続性、特異性を相互に比較した。その結果、VP1領域から1種類、VP2領域から、相互に近似するものを含めて、5種類の特異抗原ペプチドが準備できた。このうち5種類の合成ペプチドにより免疫したうさぎの血清(抗体)は、ELISAで測定されるよりもかなり高い濃度(約100倍)ではあるが、ヒトの赤芽球系前駆細胞(CFU-E)において、B19ウイルスの中和能をほぼ同等に示した。しかし、それぞれの合成ペプチドの抗体は、ウイルス粒子の凝集性は示さない。これは、合成ペプチドが単一の結合点しか持たないことによるためと思われるが、中和能との関係で興味のある現象である。なぜなら、これらの抗原の作製の目的は、診断用であるが、基礎的な抗原エピトープの機能の解析と、ワクチンの性状の検討に、密接な関係を持つためである。今年度までに、診断用の抗原となりうる、少なくとも5種類の合成ペプチドを作製できることが判明する成果を得た。
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