研究概要 |
1脳および頭蓋の有限要素モデル 衝撃問題を扱う今回のモデル構築に当たっては,時間の効果が入るために,各要素の節点力と変位を関係づける要素剛性行列の他に,各要素の質量行列を考慮に入れる必要があり,時間ステップごとに順次変形量を求めて行くことになった.また,水と同様脳実質はほとんど非圧縮性材料であり,このままのモデルでは計算精度が著しく悪くなるため,節点変位の他にHermannの応力パラメータも未知数とする変分原理を導入して,モデルの再構築を行った. 2実験例における頭部外傷の検討 1)成傷物体打撲では鉄,木材がいずれも33.3%で多く,転落ではコンクリートが57.8%で最多で,次いで鉄であった。転倒では大多数がコンクリートあるいはアスファルトであった. 2)頭部打撃部位打撲では側頭部が44.4%で最多で,次いで後頭部,頭頂部,前頭部であった.転落では後頭部が35.6%で最多で,次いで側頭部,前頭部,頭頂部であった.転倒では後頭部が76.6%で圧倒的に多く,他は側頭部,頭頂部であった. 3)脳挫傷側頭部打撃例では打撲の88.9%の例でcoup contusionが強くみられ,転落の80.0%の例でcontrecoup contusionが強くみられ,転倒のほぼ全例でcontrecoup contusionのみを認めた.前頭部打撃例では打撲の全例でcoup contusionのみを認めた.転落では72.7%にcoupcontusionのみを認め,27.3%に後頭葉にcontrecoup contusionを認めた.後頭部打撃例では打撲の全例でcoup contusionが強くみられ,転落の93.3%でcontrecoup contusionが強くみられ,転倒のほぼ全例でcontrecoup contusionのみを認めた.
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