研究概要 |
C型肝炎特異的細胞障害性T細胞のT細胞受容体可変部領域の蛋白を遺伝子工学的に発現させ、その蛋白を用いてC型肝炎特異的細胞障害性T細胞の細胞障害活性をブロックする抗体を作製する目的で、C型肝炎特異的T細胞株TA-NB-2細胞のmRNAよりcDNAライブラリ-を作製し、既存のT細胞受容体α鎖,β鎖のcDNA断片をプロ-ブとして用いスクリ-ニングし、TA-NB-2細胞のT細胞受容体のα鎖,β鎖をコ-ドする遺伝子のクロ-ニングを行った。得られたβ鎖の4クロ-ンの可変領域の塩基配列を解析したところ、Vβ7,20,18類似,未知のVβとそれぞれ異なった可変領域を有するβ鎖であることが判明した。従って、α鎖のクロ-ニングは、上記いずれがC型肝炎特異的細胞障害性T細胞のβ鎖であるか明らかになった時点で行うこととした。C型肝炎特異的細胞障害性T細胞の標的細胞を作製するためのC型肝炎ウイルス構造蛋白をコ-ドするcDNAのクロ-ニングは、標的抗原となっている可能性の最も高いコア領域についてはすでに終了し、EBウイルス(EBV)でトランスフォ-ムしたB細胞に発現させるための上記cDNAを組み込んだEBVシャトルベクタ-も作製した。更に、C型肝炎ウイルス(HCV)コア領域cDNA-EBVシャトルベクタ-をトランスフェクトさせたEBVトランスフォ-ムB細胞も作製し、これを標的細胞として現在TA-NB-2細胞を再クロ-ニング中であり、再クロ-ン化されたC型肝炎特異的細胞障害性T細胞を用いてT細胞受容体のα鎖、β鎖の遺伝子を再クロ-ニングする。標的細胞を作製するための、HCVコア領域cDNA遺伝子組換えワクシニアウイルスの作製も現在進行中である。
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