【研究目的】心筋細胞は新生児時期より分裂せず、成長につれて細胞の大きさのみ大きくなる。また心臓原発性の癌の報告も、転移癌の報告も少ない。このことから、心臓に何か強力な細胞増殖抑制因子の存在することが想像される。近年、肝腎においては線維芽細胞の細胞増殖を促進し、また実質細胞の細胞分裂を抑制し、さらにまた血管新生を促進させるtransforming growth factor β(TGFβ)が心筋梗塞のさいに心筋細胞に発現する事が報告され、心筋壊死層に於ける線維化促進に関与していると考えられる。しかし正常心筋細胞ではその発現が非常に弱く、TGFβとは違う抑制因子が心臓にあるのではないかと考えられる。本年度の研究計画は細胞増殖抑制因子に着目し、c-myc oncogeneを培養心筋細胞にlipofection法を用いてtransfectionし、transfectionされない細胞と比較検討し細胞分裂を起こさず肥大することを確認する。さらに、その細胞増殖抑制因子を精製、同定する事にあった。 【研究成果】本年度は予備実験として、心筋細胞を用いず血管平滑筋細胞、線維芽細胞にc-myc、h-rasをlipofection法にてtransfectionした。transfectionされた細胞ではいずれもPLC活性が上昇し、細胞ないへのCa取り込みも増加していた。DNA合成もtransfectionされた細胞で亢進していた。こんねんどは更に心筋細胞をもちい検討するとともに、更に細胞増殖抑制因子を同定する。
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