研究課題/領域番号 |
03557039
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阿部 圭志 東北大学, 医学部, 教授 (60004777)
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研究分担者 |
水柿 道直 東北大学医学部附属病院, 薬剤部, 教授 (60004595)
山本 尚三 徳島大学, 医学部, 教授 (50025607)
室田 誠逸 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (50072989)
大内 和雄 東北大学, 薬学部, 教授 (20006357)
鹿取 信 北里大学, 医学部, 教授 (50050365)
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キーワード | プロスタサイクリン / トロンボキサン / 11-デヒドロ-トロンボキサンB2 / 2,3-ジノル-6-ケト-PGF1α / 測定法 / 高血圧 / 妊娠中毒症 / 炎症 |
研究概要 |
まず、11-dehydro-Thromboxane B_2(TXB_2)測定法の臨床応用がなされた。心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、妊娠中毒症や気管支喘息などではTXA_2の産生が増加するものが認められ、その動態の解明と生理的、病態生理的役割の解明がなされた。また、エイコサノイドのclean-up法としてBond Elutカラム、イムノアフィニティカラム、HPLCを用いた方法の開発と応用やHPLC-レーザーシステムによる測定法の開発などが行なわれた。一方、プロスタサイクリン(PGI_2)生体内産生の指標となる新しい安定代謝産物である2,3-dinor-6-keto-PGF_1αのEIAキットが開発され、生体濃度測定法の実用化と標準化の分担研究が行なわれた。尿を試料として用いた場合には、抗6-keto-PGF1α抗体や抗2,3-dinor-6-keto-PGF1α抗体個相化カラムあるいはHPLCなどで分離した後に測定する必要がある。これらの方法により測定された2,3-dinor-6-keto-PGF1αの24時間排泄量は100-400pg/mgクレアチニンとなり、GC/SIM法で測定された値と同じレベルとなり、信頼できる値をとる。的確な方法で測定された2,3-dinor-6-keto-PGF_1αはPGI_2産生の新しい指標となり、性差は認められずこれは腎での産生量より全身での産生量に大きく影響される。この測定法の臨床応用がなされ、炎症滲出液、培養細胞上清での測定のみならず、先天的キニノゲン欠損ラットなどの動物モデルや本態性高血圧症、糖尿病、妊娠中毒症などの病態との関連からも検討された。TXA_2とPGI_2の主要代謝産物の測定法が実用化されたことから、これらの代謝産物測定によるTXA_2:PGI_2産生バランスの検討も可能となり、糖尿病や高血圧症などでは、シクロオキシゲナーゼ代謝はTXA_2産生が優位になっていることが明らかにされた。 すなわち、本試験研究ではTXA_2とPGI_2の生体濃度測定法について、その実用化の最大の問題点であった標準化と臨床応用がなされた。
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