研究概要 |
〈目的〉遺伝性ムコ多糖代謝異常症を乳児期に早期診断をするためにマススクリ-ニング法を開発し、全国レベルでのマススクリ-ニングシステムの基盤を完成させ本症の予防治療に寄与することを目的とする。 〈研究成果〉 1.DMB(1,9-dimethyl methylene blue)法による尿中ムコ多糖正常値の設定 各月令の健康な新生児、乳児尿を5〜10mlずつ計493検体を採取し、ムコ多糖排泄量と加令との関係を検討したところ、4ヵ月以降でバラ付きが小さくなり、ムコ多糖症患児尿とで有意差が確認された。 2.精度管理について (1)現在神経芽細胞腫のマススクリ-ニングが実施されている6ヵ月児尿345例の尿中ムコ多糖を分析したところ、257±174mg/gクレアチニン値であり、患児尿ムコ多糖値からcut off pointを600mg/gクレアチニンとすると偽陽性は全体の4.9%であった。偽陽性の原因の1つとして採取の際に混入する紙おむつ中の凝固剤がDMB法に影響することが判明した。 (2)DMB法と従来よりムコ多糖スクリ-ニングとして有用されているCPC/カルバツォ-ル法との相関について、46例の尿を用いて検討したところ、γ=0.52と両者の測定法での値に相関が認められた。 (3)尿の保存条件については、尿を‐20℃,4℃,22℃および37℃に一週間保存し、採取直後の値と比較したところ、約10%のバラ付きは有るがいづれの温度でも一定した値を示し、一週間の輸送、保存では安定であることが確認された。
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