研究概要 |
〈目的〉 遺伝性ムコ多糖代謝異常症を乳児期に早期診断するためにマススクリーニング法を開発し、全国レベルでのマススクリーニングシステムの基盤を完成し、本症の予防治療に寄与することを目的とする。 〈平成3〜5年度研究成果〉 1.1,9-dimethyl methylene Blue(DMB)による尿中MPS定量法:マススクリーニングに応用すべく原尿12mlを使用して自動分析機にて測定する方法を確立した。 2.DMBと各種MPSとの反応性:ChS,DS,HS,KSの順に反応性が高かった。ムコ多糖症の尿に排泄される主たるMPS成分は原因となる欠損酵素により異なるので亜型により反応性に違いがあることに留意せねばならないことが明らかとなった。 3.DMB法とCPC/カルバソ-ル法との相関性:従来より尿中MPSの定量法として特異性の高いCPC/カルバゾール法との比較でn=60,r=86と高い相関が認められた。 4.DMB反応への妨害物質:採尿時に紙おむつ成分(凝固剤と考える)が混入すると異常高値を示す。採尿方法の徹底が必要である。 5.6か月児の尿中MPS排泄量:新生児、乳児期の尿中MPSは月々変化を示し、4か月頃より安定な値を示すことが明らかとなった。マススクリーニングの対象と考えている6か月児の尿中MPS値は平均209mg/gクレアチニン(n=11925)であった。平均値+2SD(400mg/g)をカットオフ値とすると陽性率(要再検)は3%であった。 以上の結果をふまえるなら本法は全国レベルでのマススクリーニングに充分応用できるものと考える。
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