研究課題/領域番号 |
03557054
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
草野 満夫 旭川医科大学, 医学部, 講師 (70091569)
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研究分担者 |
野口 法康 東レ株式会社, メディカル開発推進部, 部長
紀野 修一 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20234312)
山本 哲 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50125415)
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キーワード | 門脈・下大静脈シャント / 非強制的潅流法 / 抗血栓チュ-ブ / 肝移植 |
研究概要 |
試作したS型門脈下大静脈バイパス・チュ-ブ(以下S-Tube)によって、以下の実験成績および知見を得た。 1:S-Tubeによる、門脈下大静脈シャント作成に関わる大腿動脈圧、上腸間膜静脈圧、心拍出量の変動は、mean±SDで以下の通りであった。 シャント前→クランプ中→シャント後 大腿動脈圧:160.7±26.7→89.6±38.0→133.8±29.5:(n=34:mmHg) 上腸間膜静脈圧:17.2±6.5→47.9±20.2→22.6±16.2:(n=34:mmHg) 心拍出量:2.46(開腹前)→0.57→0.93:(1/min) 門脈下大静脈シャント後の各々の圧の回復は、有意差をもった変動で、全身および門脈の循環動態に及ぼす影響は軽微と考えられた。2:開腹から門脈下大静脈シャント完成までは、平均35分前後を要した。3:血管遮断時間は、門脈で2.9±1.6分、下大静脈では3.0±1.6分であった。4:門脈下大静脈シャント後犠牲死までは、最長17時間まで確認しており、その間、門脈圧の変動と腸管の鬱血は軽微で、S-Tube内外に血栓の形成は認めらなかった。以上のデ-タから、S-Tubeの開存性は、きわめて良好で、肝全摘モデルとして充分安定していると考えられた。5:この結果に基づき、試作S-Tubeを用いて、10回の肝移植実験を施行した。前述の検索項目については、移植手技に入る前段階のデ-タであり、移植の有無にかかわらず同等に評価しえるため、数値評価に関しては上記に一括して表示した。今後、生化学的デ-タの解析および臨床肝移植応用に関する評価を含め、デ-タを蓄積し検討する予定である。
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