研究概要 |
シスプラチンをDPPC(dialmitoyl phosphatidyl choline)に封入し、これをPLA(ポリ乳酸)でcoatingし、熱感受性徐放剤を試作した。この徐放剤の各種温度でのシスプラチンの放出量をin vitroで経時的に測定した結果、36度で1時間以内にほとんどシスプラチンを放出してしまうことがわかった.そこでコーティングしたPLAの分子量や、コーティングの厚さを変えて温度による徐放性を得られないか実験を繰り返したが、理想的な特性は得られなかった。そこでDPPCに代わり、融点38度の脂質であるエマレックスTPS-303を用い、ポリ乳酸及びポリグリコール酸で包んだ徐放剤(板状)を作成した。作成した徐放剤をtris bufferと共にスピッツにいれ恒温水槽において36度に保ち24時間ごとに1時間の間42度の恒温水槽につけ替えることにより加温を行った。 その結果2回目の加温までは加温ごとにシスプラチンの放出がみられたが3回目以降の放出はみられなかった。これは1回目の放出量が多すぎたため、シスプラチンが全量放出されてしまったためであると思われた。そこで融点41度のエマレックスに変更して新たに徐放剤を作成し同様の放出実験を行ったところ、3回目まで良好な放出パターンが得られた。現在はこの組成によるマイクロスフェアーを作成し,溶出試験を行っている。この溶出試験が良好な結果を示せば,動物実験を行う予定である。
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