研究概要 |
局所麻酔薬電極のイオン選択膜の適性組成と電極電位応答の反応性、耐久性及び血液構成成分と生体での電極電位応答を検討した。 1.局所麻酔薬電極のイオン選択膜組成:局麻薬の塩酸塩とテトラフェニル硼酸とのイオンペア-、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル、基剤であるポリ塩化ビニルおよび共通溶媒テトラヒドロフランを5mg,100mg,110mg,1.5mlとするのが最適であった。この溶液を銅線に被覆し電極を作成した。生体内留置用電極(0.4mm^φ)においても電位応答の反応性、耐久性に問題はなかった。 2.参照電極作製:銀/塩化銀電極で、生体条件下での測定に備えダブルジャンクション型にして等張食塩水を液絡部となるようにし、安定した電位が得られた。反応性は、5x10^<‐5>〜10^<‐2>Mの濃度範囲で約57mV/concentration decadeに示し、検出限界は10^<‐6>Mであった。pHの影響はブピバカイン以外はHenderson-Hasselbalchの式に従うカチオン型濃度の変化に対応した。温度変化は室温〜37℃付近で調べたところネルンスト勾配のみに影響し、安定性は変わらなかった。 3.電極電位応答に及ぼす各種因子の影響:試料溶液のイオン強度は影響しなかった。術中に用いられる薬物も、局麻薬間相互の影響以外は問題なかった。電極を構成する局麻薬が疎水性が高いものほど、試料溶液中の他種の局麻薬の影響を受けにくく、逆に溶液中の局麻薬の疎水性が高いものほど電極電位に影響するという理論に忠実な結果が得られた。 4.アルブミンとの相互作用:アルブミンそのものは電極電位にほとんど影響せず、局麻薬とアルブミンの結合による遊離局麻薬濃度の減少に伴う電極電位変化から、結合定数を簡単に求めることができ、この方面での新たな応用が考えられた。 5.生体応用:家兎血中濃度連続測定では、投与後15秒で最高血中濃度を示した。Two compart-ment modelでの解析では、V_1=0.111/kg,V_2=0.121/kg,k_<12>=1.88/min,k_<21>=0.88/min,k_<10>=1.88/minという値が得られた。
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