研究分担者 |
鈴木 隆志 秋田大学, 医学部, 助手 (70179224)
能登 宏光 秋田大学, 医学部, 助手 (60164711)
西沢 理 秋田大学, 医学部, 講師 (60091815)
原田 忠 秋田大学, 医学部, 講師 (00108953)
小川 哲朗 秋田大学, 医学部, 教授 (80004555)
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研究概要 |
脊髄化学刺激実験として,除脳犬を用いて仙髄クモ膜下腔に交感神経α-1およびα-2刺激剤と遮断剤の投与を行い,仙髄排尿中枢におけるα作動性機構の役割を検討した.排尿反射は生理食塩水の膀胱内持続注入で誘発した.phenylephrin0.01-0.43mgを髄腔内に投与すると 膀胱容量が有意(p<0.05)に増加した.また平均尿道内圧が有意(p<0.05)に上昇して外尿道括約筋筋電図が増強した.prazosin0.01-.03mgを投与すると膀胱内圧や容量には有意な変化がなかったが,外尿道括約筋筋電図が減弱した.clnidine0.07-0.32mgを投与すると膀胱内圧や容量には変化がなかったが,尿道内圧が有意(p<0.05)に減弱して外尿道括約筋筋電図は減弱した.yohimbine0.07-0.45mgを投与すると膀胱容量は変化なく膀胱収縮圧が有意に(p<0.01)低下した.尿道内圧や筋電図には有意な変化がなかった.仙髄排尿中枢内でα作動性機構は,α-1受容体を介して膀胱容量の増加と外尿道括約筋活動を増強を,α-2受容体を介して膀胱収縮力の増大と外尿道括約筋活動を減弱させると考えられる. 神経刺激実験としては,除脳イヌを用いて膀胱腔内電気刺激が膀胱の活動を改善する機序を検討した.生理食塩水の膀胱内注入で反射性排尿が生じることを確認した後,膀胱容量の約80%の生理食塩水で膀胱を満たし,刺激電極を経尿道的に膀胱内に挿入して膀胱腔内電気刺激を等間隔(1-3分間隔)で行った.電気刺激(1msec,20〜50Hz,1-10V)に一致して,1秒以内の潜時で膀胱収縮が繰り返し誘発された.この膀胱収縮は膀胱内xylocaine注入で抑制され,hexamethonium i.v.で消失した.膀胱腔内電気刺激による膀胱収縮は,膀胱平滑筋の直接刺激や膀胱に分布する副交感神経後線維の刺激によるのではなく,膀胱の神経求心路を刺激して排尿反射を誘発した結果であり,臨床的には末梢神経不完全損傷による低活動性膀胱患者の膀胱訓練に有用と考えられる.
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