研究課題
当初1993年度に行う予定の腹腔鏡下副腎摘除術は、すでに述べたようにいくつかの段階を踏まえ、すでに1992年2月に実施したので、当該研究予定は繰り上げて達成されたことになる。1993年度には、手術に習熟し、(1)安全確実に副腎摘除を行う、すなわち出血量を通常の開創手術よりも少なくし、3時間以内の手術時間で行う。(2)腹腔鏡下副腎摘除術の安全確実な術式を普及させることに目標をおき、概ねこれらの目標は達成出来たと考えられる。(1)安全確実に腹腔鏡下手術を行うにあたっては、open laparoscopy法,腹壁吊り上げ法、血管剥離用の鉗子類の開発(1991年度に達成)等が要点となる。(2)術式としては腹腔よりアプローチすること、腸管の受動、ジェロータ筋膜をメルクマールとして利用すること、副腎血管の処理等が要点となる。以上の要点に注意して腹腔鏡下副腎摘除術を行い、1993年12月におこなった最近の2例の手術時間は190〜210分で出血量は30ml以内であり、この点でも開創手術と遜色のない術式になりうることを証明できた。更にいくつかの著書、総説論文、学会発表で腹腔鏡下副腎摘除術は適応を誤らなければ、患者さんにとって侵襲が少なく、早期に社会復帰が可能な、普及するべき新しい術式になりうることを確信した。
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