研究課題
試験研究(B)
本試験研究では、腹腔鏡あるいは後腹腔鏡による泌尿器科領域の手術ことに副腎摘除術の開発を目途し、以下の結果を得た。1)1991年4月〜7月にかけて行った豚の実験では、スペースの制約により、腎・副腎摘除を目的とした後腹膜腔内での鉗子の操作は困難であるとの結論に達し、腹腔鏡による手術法を選択した。2)豚の実験で、腎・副腎的除術・骨盤リンパ節摘除術・精索静脈瘤摘除術のいずれにおいても、血管の処理が重要な要因であることが明らかになり、その剥離に適した鉗子を作製した。3)鉗子の開発を待って、臨床面で副腎摘除を実施することができた。我々の発表は世界でも最初に属するものと考えられる。4)腎摘除は腎細胞癌を適応から除外することが望ましいが、手技的に発展し、所属リンパ節廓清が可能になるなら、再検討されるべきである。副腎については悪性腫瘍を適応から除外するなら、腹腔鏡手術のよい適応であると考えられる。5)open laparoscopy、腹壁の吊り上げ法および手術術式など、腹腔鏡下手術を安全・確実に行う方法を勧めた。習熟するなら腹腔鏡下副腎摘除術は従来の開創手術と比して手術時間・術中出血量はほぼ同等で、社会復帰を早くし、入院日数を短くすることが出来ることを明らかにした。
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