研究課題
本年度は3次元下顎運動計測装置の精度向上およびシステム完成を目標に研究を進め、以下の成果が得られた。1.各センサーの精度の向上本システムでは、3つの半導体位置検出素子(以下PSD)を用いて3次元剛体運動を計測するため、各PSD出力電圧と位置座標の関係が正確にわかっていなければならない。理想的には両者はある比例式によって表わされるはずであるが、実際はレンズの収差、結像面とセンサー面のずれ、センサー出力電圧の非線形性等により補正が必要になる。昨年考案した補正式では、70×40×30mm(1071点)の計測で実座標と出力電圧から得られた座標との差(誤差)は約190μmであったが、本年度考案したものでは、約90μmに向上した。2.3次元位置座標算出の精度向上および処理の高速化各PSDの出力電圧により3次元位置座標を算出するが、顎口腔機能総合診査システムとしては正確かつ高速に座標算出が行われなければならない。昨年度までの、処理アルゴリズムでは、収束が遅く誤差も約350μmであったが、本年度新たに考案したものでは、収束も速く、1.の補正式を使用することにより現在のところ約160μmまで向上した。3.3次元下顎運動測定装置の作製本装置では上弓にPSD、下弓に発光ダイオード(以下LED)を取り付けるが、生理的下顎運動を得るためにはできるだけ軽量で簡素な装置が望ましい。昨年作製したものではLED光の反射が認められ、その反射光により、センサー出力電圧の非線形性が増大されたと考えられた。このため、反射を極力抑えるようLED、PSDの位置を考慮し装置の作製を現在行っている。