研究概要 |
1.透視装置の改善 前年度において構築した透視装置の画質評価を行ったところ,反対側顎関節の透視用の撮影系から生じる散乱X線が画質の劣化をまねいていることがわかった.本システムは左右同時連続照射としているためにある程度は避けられない現象ではあるが,これに対しては新たにX線管球前面に固定式のX線絞りを設けることで実用上差しつかえない程度まで画質を改善することができた.なお,被写体の大小に対しては,異なるサイズのX線絞りを用意することで対処した.また検査中の透視装置の動揺が画質に影響を及ぼさないよう,透視装置の補強を行った. 2.画像出力装置ならびに画像記録装置の調整 前年度では左右2チャンネルの画像の合成はスーパーインポーザーを使用したが,画質の改善の為に,デジタル分割ユニットを採用した.本装置は4チャンネルまでの画像を一画面に縮小表示させるもので,左右関節の同時縮小表示または片側関節の拡大表示のいずれかが可能になった.また現有のビデオタイプライタを接続することによって被験者情報を同一画面に表示することが可能になった. 3.被験者による透視画像の評価 本システムの目的,X線被曝について説明を行った健常者ならびに顎口腔機能異常者を対象とした30例について本システム上で透視を行った.その結果,十分な明度・コントラストで下顎頭運動に伴う顎関節部の透視画像を得ることができた. 4.関節雑音-下顎頭運動の同時記録の可能性について SMPTE同期の手法によって関節雑音-下顎頭運動の同時記録の可能性について検討を行ったが,本法では音声と画像の同期ロックにあらかじめ1分程度の空送り時間を要するために,本研究においての応用が因難であることがわかった.そのため,現在はQuickTime^<TM>の手法を用いて関節雑音-下顎頭運動の同時記録の可能性について検討を進めている.
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