研究課題/領域番号 |
03557095
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田端 守 京都大学, 薬学部, 教授 (60025682)
|
研究分担者 |
福井 宏至 香川大学, 農学部, 教授 (80026575)
上硲 和輔 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (60085280)
田中 重雄 京都大学, 薬学部, 助教授 (30115878)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1992
|
キーワード | ウリ科 / 植物細胞培養 / トリテルペン / ブリオノール酸 / 生合成 / 分泌 / 抗アレルギー作用 / 構造活性相関 |
研究概要 |
抗アレルギー活性成分であるブリオノール酸(BA、D:C-friedoolean-8-en-3β-ol-29-oic acid)を安定かつ効率的に供給するため、培養細胞系を用いたバイオ生産法の確立を図った。すなわち、種々のウリ科植物から誘導した培養細胞の中、高いBA生成能を示すヘチマ及びスイカ培養細胞を用いて、分泌性高生産株の選抜と培養条件の改良を行った。BA生成に好適な培養条件を求めるため、培地の組成(糖や無機物質など)や光の影響、さらに多糖などのエリシター効果を検討したが、BAの生産性を高めることはできなかった。そこで、細胞選抜法により高生産株をスクリーニングした結果、幸いにも乾燥重量当たり8%の高含量でかつ分泌能を示す優良株(ヘチマ培養細胞)が得られ、大量生産への道を拓くことができた。ヘチマ培養細胞が細胞壁に分泌、集積したBAを可溶化するため、FC-43 emulsion(人工血液)を培地に添加したところ、BAは速やかに培地中に移行することがわかった。またFC-43 emulsionは、細胞の生長や物質生成にほとんど影響を示さないことから、ヘチマやスイカ培養細胞の特異な分泌特性を活用した、目的二次代謝産物の細胞外放出による新しいバイオ生産方式が可能となった。このように、生合成経路と調節因子の解析、細胞内輸送の解明を通して得た成果をもとに、人為制御下で行う能率的な生産技術系の開発研究を実施した。 他方、I、III、IV型アレルギーモデルに有効であったBAのコハク酸(K塩)は、アラキドン酸やTPAで惹起したマウスの耳浮腫や、酢酸で誘起した血管透過性亢進を有意に抑制し、種々の炎症モデルに対して広い活性スペクトルを示した。また、酢酸で誘起したwrithingの抑制作用(鎮痛活性)やマクロファージの貧食能の低下作用など多彩な作用特性を示し、抗アレルギー剤として有望な化合物であることが判明した。
|