研究課題/領域番号 |
03557105
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医学一般
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小山 富康 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (50001681)
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研究分担者 |
荒磯 恒久 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (30151145)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | 生体内蓄積発光物質 / 分子振動 / 燐脂質分子 / 燐頭部 / 骨格部 / 相転移 / 脂質平面膜 / Langmuir-Blodget membrane |
研究概要 |
既設のレーザーと光学機器に新たな検知システムと光学部品を組み合わせることによって、高感度の発光分析装置を組み上げた。この装置を用いてまず浮遊試料について、ついで固定された生体膜モデルについて測定を試行した。 加令ラットの心筋内に蓄積した蛍光物質を採取して動的構造を検討した。異方性曲線の減衰は極めて速やかであり、発光部分は分子量数百程度の小構造であり、激しく振動していると見られた。生体内に蓄積する発光物質の本体については多くの議論がある。今回得られたような挙動を示す物質も含まれていることは、将来の大きな研究課題を提供するものである。 実験的脂質二重層であるリポソームに適当な蛍光物質で標識した脂質を組み込んでおけば、脂質二重層の動的構造についての情報を与えてくれる。コリン燐脂質の頭部に蛍光物質を付けておくことにより、燐頭部も激しく振動していること、エタノールアミン燐脂質の頭部に疎水性蛍光分子を結合させておくことにより、グリセロール骨格部も激しく振動しているという新知見が得られた。 細胞融合にともなう脂質二重層(Lα)の、逆ヘキサゴナル層(HII)への変化についても興味深い成績が得られた。膜融合に当り生体内での引き金役と考えられるジアシルグリセロールを添加することにより燐脂質の動的挙動は変化し、燐頭部の運動は制限され、脂肪鎖部の運動は増強した。Lα-HII相転移における膜の平均局率の変化を分子運動レベルではじめて明らかにしたものである。 組織や細胞内の発光の局所的状況を検討するためには、固定標本についての測定が必要である。本研究では、生体膜に類似した固定平面脂質膜であるLB膜について試行された。発光の測定から薄膜の分子挙動を解析するために、配列した分子の平均傾斜角、揺動角、揺動の拡散速度を計算する新概念を提唱し、LB膜上のステアリン酸分子の挙動について興味ある結果が得られた。 以上、生体発光物質の動的微細構造と膜構造全般に亘る解析方法を提案し、また新しい成績を得ることができた。
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