研究概要 |
本研究は、マイクロレ-ザ-光ビ-ムを用いて、個々の生体細胞のさまざまな加工や操作を非接触的に行なうための全く新しい物理的な細胞制御技術を開発し実用化することを目指したものである。 本年度は昨年度までに別々に開発してきたエキシマレ-ザ-を光源とする微細加工装置と各種レ-ザ-を光源とする光トラッピング装置を一体化し同一顕微鏡視野内に装着した。試作装置の動作性能評価と基本特性を解析した。1)波長によるトラッピング力の相違:アルゴン(波長540nm),半導体(830nm,1300nm,1500nm)のレ-ザ-を用い微小体の光トラッピング操作を実現した。照射光強度と光トラッピングの力の水平方向成分との間には比例関係が認められ、また波長が短いほどトラップ力は大きくなることを確かめた。2)高次横モ-ドによる光トラッピングの実現。光源にNd:YAGレ-ザ-を用いてTEM_<01>高次モ-ドがTEM_<00>基本モ-ドより強い光トラッピング力を持つことを確認した。また出力10mWのNd:YAGレ-ザ-で30分間イ-スト菌をトラップしたが何等変化は観察されなかった。3)回転操作の実現。楕円状の強度分布をもつ半導体レ-ザ-を用い強度勾配の大きい短軸方向の力が長軸方向の力より大きいことに着目しマウス赤血球を回転操作することに成功した。これにより対象物の捕捉、転送操作に加え回転操作がこの技術により非接触的に行なえることを実証した。4)エキシマレ-ザ-を用いた細胞融合法の至適条件。ミエロ-マ細胞を対象に細胞融合率に対するレ-ザ-光照射条件について種々検討した。本実験では1.5J^<-6,>30パルスが至適条件で、この条件下で50%細胞融合に成功した。引き続き他の細胞について同様の実験を進めている。
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