研究課題/領域番号 |
03557107
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西原 克成 東京大学, 医学部(病)・口膣外科教室, 講師 (10010323)
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研究分担者 |
平山 泰彦 旭光学工業, ニューセラミックス部, 主任研究員
丹下 剛 東京大学医学部, 病理学教室, 講師 (10107667)
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キーワード | 微小造血環境 / 人工骨髄chamber / 脾臓 / 骨髄造血 / ヒドロキシアパタイト / 高圧低温法 / 巨核球 / 血小板 |
研究概要 |
平成3年度には予備実験として、歯髄腔内にヒドロキシアパタイト(以下HAと略する)顆粒を移植し、また、肋骨骨髄腔内にHA多孔質のプレートの植入実験を行った。その結果、歯髄chamber内には、HA顆粒周囲に血管の再生が認められ、類骨様の石灰化組織の再生と細網内皮系組織に類似した再生組織が観察された。一方、肋骨内に植入したHAプレートは大部分が溶解消失し、付近の肋軟骨の著明な増生が観察された。周囲の骨髄組織には組織学的には著明な変化は認められなかった。 平成4年度の実験では、人工骨髄のHAchamberの設計・制図と並行して、長管骨状の円筒形のHA多孔体の人工骨を作製し成犬の大腿部へ移植実験を行った。また同じ円筒形人工骨にHA顆粒を填入したものを成犬の筋肉内に移植し、組織誘導性の観察を行った。一定期間経過後に標本を作製し、光学顕微鏡と透過型電子顕微鏡による観察を行った。また、従来のHAとは異なる高圧低温焼結法により作製したHA緻密体の小板を筋肉内に移植し、組織反応の観察を行った。一方ラットの巨核球を用いた組織培養の実験で、培養液内にHA顆粒を添加した状態としない状態で巨核球の血小板の産生能を観察した。HAの人工骨髄chamberは脾臓の器官構成の基本型を参考として、工学的に作製に無理のない構造をとるように検討し、漸く完成した。 実験の結果、移植した円筒形の人工骨内には骨髄造血組織の形成が認められた。また筋肉内に移植した人工骨ではHAの多孔体の気孔部に骨髄造血細胞群の形成が認められた。また高圧低温法により作製したHA緻密体の小板の周囲には、炎症所見が全く認められず、微小造血巣の形成が認められた。組織培養実験では、HAを添加した条件下で血小板の産生の亢進が認められた。 平成5年には完成した人工骨髄chamberの移植と並行して、HA組織培養でcollagenを添加した状態で血小板の産生能を観察し、生体内での骨髄細胞の培養条件を探る。
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