研究課題/領域番号 |
03557108
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
牧 正敏 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (40183610)
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研究分担者 |
岡田 弘 国立京都病院, 臨床検査科, 内科医長
亀山 正樹 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60150059)
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キーワード | カルシウムチャンネル / カルパスタチン / パッチクランプ |
研究概要 |
Caチャンネルに対するカルパスタチンの作用機序を解明する目的でカルパスタチン断片の心筋Caチャンネルに及ぼす効果をパッチクランプ法で調べた。コラゲナ-ゼで分離させた単一心筋細胞に50mM Ba^<2+>をつめたピペットを用いて、細胞接着形式のパッチクランプを行い、Caチャンネル電流を記録した。この後、膜パッチを細胞から引き離し、反転膜パッチの状態にした。この条件では、Caチャンネルの活動は低下するが、カルパスタチンのN末ペプチド断片(アミノ酸残基1-242)を添加すると再活性化することが判明した。その効果はチャンネル数や単一チャンネルコンダクタンスの増加ではなく、チャンネルの開口確率を増大させるものであった。内在性カルシウムチャンネル活性化因子は、カルパスタチンそのものであることを強く示唆する。しかし、断片化ペプチドは、全長カルパスタチン精製標品と比して活性が弱く、機能ドメインを同定することはできなかった。断片化ペプチドは、プロテア-ゼによって分解され易く、調製方法の改良やパッチクランプ実験条件の改善などの検討が必要である。 また、カルシウムチャンネル活性化機能を有すると思われるカルパスタチンN末領域には、分子多様性が存在することがPCR法によって明らかっとなった。各種ヒト組織及び細胞からRNAを調製し、逆転写酵素によってcDNAに変換したのち、耐熱性ポリメラ-ゼを用いてDNA増幅を行いアガロ-ス電気泳動で解析すると大きさの異なる複数のバンドが検出された。バンドを抽出し、クロ-ニングして塩基配列を調べると、特定のエキソンが欠失しているものがあった。欠失の有無は組織及び細胞によって異なる結果が得られた。多型分子のチャンネル活性化能の差異に興味がもたれる。
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