イメージングプレートを利用したX線回折計として、本研究の申請書に記載した実験室内の系(理学電機(株)製のR-AXISIIcを使用)と、高エネルギー研フォトン・ファクトリーのワイセンベルグ・カメラを使用した系の双方に関し、迅速な蛋白質立体構造決定システムの確立に努めた。その結果、二つの系のいずれかについても、極めて高性能のシステムを開発することに成功し、いくつかの蛋白質の構造の解明、又は精密化に成功した。以下項目に分けて述べる。 1)実験室内のイメージング・プレートX線回折計の整備。 平成3年度購入の『イメージング・プレートX線回折計用ゴニオメーター部』と、平成4年度購入の『イメージング・プレートX線回折計用マイコンシステム』を既有の部分と組み合せ、Ethernet網で既有のコンピューター・グラフィックス装置と接続した。 2)高エネルギー研のワイセンベルグ・カメラで収集したX線回折データを、当研究室の既有のコンピューター・グラフィックス装置に入力して、構造解析を行うルートを確立した。 3)上記の1)及び2)の設備により以下の蛋白質の結晶構造解析に成功した(かっこ内は適用した方法論を示す):インターフェロン-β及びリボヌクレアーゼRh(重原子同型置換法による新規の構造解析);SSI-トリプシン複合体(分子置換法による構造解析);人工変異SSIとサブチリシンとの複合体(差フーリエ法による構造解析);SSI-サブチリシン複合体(高分解能での構造精密化)。
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