研究課題/領域番号 |
03558018
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高木 俊夫 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (00029943)
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研究分担者 |
久保田 英博 アトー(株)技術開発部, 学術研究課, 課長
岡 宏一 大塚電子(株), 基礎開発部, 部長
亀山 啓一 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (60177607)
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キーワード | 電気泳動 / 多糖 |
研究概要 |
頭書の課題で申請した時点においては、関連した研究は全く公表されていなかった。しかし、この課題は同時点で多くの研究者に関心が持たれていたようであり、その後において多くの報文が現れ始めた。そこで、我々はキャピラリー電気泳動において分子ふるい媒体として用いる線状高分子を、その特性が高度に明かなものに限定することによって、独自性を発揮するよう努めることにした。研究代表者である高木は10年余り以前に、バクテリアが産生した多糖の一種であるプルランの一群の標品の分子量分布の評価を行うグループ研究に参画する機会を得ていた。同標品群は(株)林原生化学研究所が製造し、高性能ゲルクロマトグラフィーにおける分子量標準物質として用いるべく高度に分別したものであった。手元に残されていた標品に新たに供給されたものを加えたものを、本研究における分子ふるい媒体として用いた。その結果、以下のように要約できる成果を得ることができた。1)平均分子量が40万以下のものに、実用性のある分子ふるい効果を認めることは出来なかった;2)80万のものに関しては、プルランの分子鎖が相互に絡まりあい始める濃度以上において初めて、実効性のある分離が認められた;3)160万と250万のものに関しては、上記の濃度以下においても実効性のある分離が認められた。分離機構としては、3)の条件下においては、低濃度域において比較的に大きな網目をくぐって行くことによって起こるオグストン形式の分離が検知された。しかし、その他の条件下における分離においては、濃密な網目を蛇のような動きでくぐり抜けて行くと想定するレプテーション形式の分離は、バイアスを受けないもの受けたもの双方を通じて認められなかった。以上の知見は線状高分子による分子ふるい機構としては、多くの点において、従来のゲル電気泳動において考えられていたものとは異なる分離機構の概念が必要とされることを示すものである。
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