研究概要 |
まず原料のラセミN,N-ジアルキル-3,3-ジメチル-1-ブタノ-ル(I)の合成研究を行った。市販のピナコロンを炭酸カルシウムの存在下,塩素との反応によりモノクロルピナコロンを製造し,続いてラネ-Ni触媒による水素還元(30気圧)により第3級でチルエチレンクロルヒドリンに導き,濃原可性ソ-ダ溶液との処理により第3級でチルエチレンオキシドを全収率70%で製造した。次いで第3級でチルエチレンオキシドと種々のN,N-ジアルキルアミンのグリニャ-試薬(R′R^2N-MgCl)との反応により高収率で(I)を合成することができた。ジアルキルアミンの種類は,ジイソプロピルアミン,シクロヘキシルアミン,ジシクロヘキシルアミン,シクロヘプチルアミン,2,6-ジメチルシクロヘキシルアミン等である。特に,シクロヘキシルアミンとの反応物である。ピペリジノ-3,3-ジメチル-1-ブタノ-ル(PDBと略す)を大量を合成し,光学分割研究に用いた。 ラセミのPDBのTi(OiPr)_4-酒石酸イソプロピル触媒系を用いる第3級ブチルセドロパ-オキシド(TBHP)による鏡像体区別酸化反応の研究は現在反応条件の検討を詳しく行っている。現在までに得られた結果はTBHPを反応基質に対して0.6モル等量使用したときに,最も高い不斉収率で未反応光学活性PDBが回収されること,またチタニウム化合物と酒石酸イソプロピルのモル比が1:1.2の時が最適であること等が判明している。反応温度は0℃で行っているが,更に検討したい。いずれにしろ光学純度96%のPDBが得られた。今後はスケ-ルアップの研究を予定している。
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