1.当初の予定通り.Wisconsin大学で開かれた学会へ出席して次の成果を公表した。(1)nominalesその他の12世紀後半の諸論理学派に言及した同時代資料のリスト(コペンハ-ゲン大学S.Ebbesen教授と共同で作成)。(2)nominalesと呼ばれていた論理学派の成立と崩壊についての研究論文(この問題をめぐる従来の論争が同学会を開くきっかけとなったが.拙論は大方の賛同をえた)。(3)nominalesの手になる未刊書作四部の校訂。(1)(2)は.同学会のActsとしてVivarium誌1992年度号に公表されることになっており.すでに同誌に原稿を送付ずみである。(3)は同誌のスペ-スの都合上今回は載載可能なので.別論文として公表する予定である。 2同学会は.これまで会うをえなかった多くのこの分野の研究者と親しくなり.情報交換等をできた点でも大きな成果があったと言える。特に.アベラ-ルについて重要な研究をしてきたMonash大学C.Mewsと、12世紀論理学・神学についての共同研究をすることになった。これは今後の研究におおいに役立つことになろうと思われる。 3.その後.現報告時点までに.次年度の研究対象にとりかかっている。すなわち.12世紀初頭に書かれた2部の論理学著作の校訂・研究である。これらは.これまで論理学著作の知られていなかったギョ-ム・ド・シャンポ-の作である可能性が非常に高いことが.明らかになりつつある。この研究成果は.1992年6月にNijmegen大学で開かれる第10回中世論理学意味論ヨ-ロッパ・シンポジウムで発表する予定である。
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