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1991 年度 実績報告書

前衛美術運動におけるオブジェの概念の変遷

研究課題

研究課題/領域番号 03610028
研究機関多摩美術大学

研究代表者

建畠 晢  多摩美術大学, 芸術学科, 助教授 (50125217)

キーワードオブジェ / シュルレアリスム / タダイスム / ポップア-ト / ミニマリズム
研究概要

2年計画の研究の初年度であり、文献資料の収集と作品調査、研究者との情報交換等を中心に研究を進めた。収集資料の分析は次年度に行なうため、現時点では新知見を体系的にまとめることはできないが、およその成果は以下のようなものである。
1)オブジェは20C初めのダダイスム以降の前衛美術運動の中できわめて重要な位置を占めるが、それはまずモダニズム美術の中核である絵画・彫刻というジャンルに対する批評をなしていること。と同時に美術の問題を越えて、それぞれの時代における物体概念を鋭く反映していること。当然ながらそこには産業技術や情報メディアの展開との深い関わりが見られる。通史的な考察を進めるには美術史のみではなく、社会史的な視野を含めての分析が不可欠であろう。
2)前史をすなものとしてキュビスムがきわめて重要な意味を持つこと。特にピカソの分析的キュビスムから総合的キュビスムへの移動期に、オブジェの方法が先取り的に用いられている点に注目する必要がある。
3)シュルレアリスムの象徴機能のオブジェに典型的な深尽心理学との関わりは、従来から多くの研究がなされているが、この問題もまた美術史のみではなく、文学や音楽と共通するものであり、さらに第二次大戦後のア-ル・ブリュト(原生芸術)などとの関係も含めて、より幅広い分析が必要である。
4)昨今のいわゆるポストモダニズムの思潮の中で、オブジェを流通や消費のシステムに対する批評として提えようとする視点が新たに注目されるようになりつつある。端的に言えば量産技術や電子メディアの登場で人間と物質との関係が変化してきており、オブジェにそのような物体の危機とでも言うべき状況が反映しているわけである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 建畠 晢: "ポップア-トとオブジェ" 多摩美術大学紀要. (1993)

  • [文献書誌] 建畠 晢: "オブジェの歴史ーモダニズムのデュンストラクション" 未来社, 250 (1994)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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