以下に示す点が明らかになった。 (1)視覚障害者を示すラベルのうち、「目の不自由な人」という表現が最もイメ-ジがポジティブであり、次いで「視覚障害者」「盲人」「めくら」の順であった。従って、尺度には「目の不自由な人」を用いた。 (2)直接接触型態度変容技法として視覚障害を持つ人による講演法の効果を検証した。その結果、「拒否的態度」「特殊能力」「交流の当惑」の3つの次元で改善が認められた。 (3)視覚障害者による盲人の手引き体験法の変容効果を検証した。その結果、「拒否的態度」「総合教育」「依存的な自己中心性」「交流の当惑」の4つの次元で態度改善が認められた。しかし「特殊能力」の次元では統計的に有意な態度の変容はみられなかった。 (4)視覚障害学生と正眼学生の合同授業法による変容効果を検証した。その結果、「特殊能力」を除く4つの次元において態度が改善した。「特殊能力」が改善しなかったのは、直接接触法は人格的理解を進めても盲人の持つ能力の客観的な評価にはつながらないことが原因である。 (5)社会教育場面(公民館活動)における点字講習会の変容効果を検証した。これには簡便に点字を作成できる点字・立体教材作成システムを用いた。その結果、点字の学習だけではなく点字触読もあわせて体験した場合には、「特殊能力」の次元が大幅に改善することが確認できた。 (6)盲学校見学法の変容効果とそれに講議を併用した場合の効果について検証した。その結果、盲学校を見学するだけでは変容が見られず、むしろ「統合教育」の次元ではネガティブな方向に変わることが確かめられた。講義を併用した場合では、全体的にポジティブな方向に態度は変わるが、「統合教育」の次元でネガティブな変容がみられるのは講義を併用しない場合と同様であった。
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