研究課題/領域番号 |
03610051
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
浅川 潔司 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (00136029)
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研究分担者 |
古川 雅文 兵庫教育大学, 学校教育センター, 助教授 (80153518)
夏野 良司 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10198369)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | 環境移行 / 適応 / 海外帰国子女 / 心理的距離地図 / 微視発生 / 対人ネットワーク |
研究概要 |
近年、海外から帰国し、国内の学校に編入する児童や生徒が増加している。こうした事態では、それまでの安定的に均衡していた自己-環境関係が一時的かつ急激に崩壊する。そのために、この事態を危機的な環境移行事態ともよべるであろう。本研究では、児童が直面するこのような新環境への移行事態をとりあげ、こうした場合の児童の学校適応の過程について、人間-環境相互交流論の観点から微視発生的に検討することを目的とした。 研究1では、海外帰国児童6名とその受入学級児童177名を被調査者として、1991年4月より1992年2月までの期間で計7回にわたり、心理的距離地図(PDM)が実施され、分析された。この課題は、主として、帰国児童の対人関係ネットワークの形成過程を質的および量的に見るためのものであった。この結果によれば、ほぼ全員の帰国児童のPDMには、多くが消長を繰り反す中でほとんど常に表出される人物、すなわちアンカーパーソンとも呼びうる人物が認められた。そして、この人物が、対人ネットワークの形成に深く関わっている様子であった。また、PDMの質的分析からは、帰国児童の友人選択は、学級内で比較的社会的地位の高い者であることがうかがわれた。さらに、対人関係の文化や統合に向けて、微視的な発達的変化が生じることがわかった。 研究2では、帰国児童およびその母親への面接が試みられた。その内容を分析したところ、転入当初は比較的不安や不信を抱く傾向にあるが、子どもが小学校で適応するにつれてこうした懸念は消え、むしろ進学などが不安の対象となっていくことが示唆された。帰国児童に対しても面接が実施されたが、転入後約6か月の時点ともなると、顕著な不適応と判断される児童は皆無であった。
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