研究概要 |
1.ラットの摂水行動をベ-スラインとする条件性抑制場面において、グリッド電撃の長さに関する情報の有無と、信号ー電撃間隔が変動する場合と固定の場合について、2×2の要因計画によって次の4群を設け、事態の持つ不確かさ(情報欠如)が持続的情動を高めるであろうとするImada & Nageishi(1982)の仮説を、摂水行動の持続的乱れを持続的情動の指標として実験を行った。各群には12匹のラットを配置した。 2.CF群:異なる長さの電撃が別個の信号と相関(correlated)しており、また信号ー電撃間隔は10秒に固定(fixed)された群。CV群:信号ー電撃間隔が5,10,15秒と試行によって変動(variable)する以外はCF群と同じ。UCF群:信号ー電撃間隔は10秒と固定されているが、二種の信号と電撃の長さが相関していない(uncorrelated)。したがって電撃の長さに関する情報が信号によって与えられていない。UCV群:信号ー電撃間隔が5,10,15秒と試行によって変動する以外はUCF群と同じ。 3.信号には光(170 lx)と純音(1000Hz,84dB)を用い、電撃は短電撃は0.7秒に固定し、長電撃は初期には2.1秒、後には2.8秒とした。電撃強度は初期は100V、後には140Vとした。 4.摂水行動の持続的乱れは、信号ー電撃変動条件の方が固定条件よりも著しく、これは仮説と一致した。しかし電撃の長さに関する情報が与えられていない条件において、それが与えられている条件におけるよりも顕著な摂水行動の乱れが見られるであろうとの仮説は支持されなかった。同様の実験を2度反復したが、得られた事実には変わりはなかった。また副次的に、長い電撃と相関した信号は、短い電撃と相関した信号よりも顕著な条件性抑制を引き起こすことが見いだされた。操作子を用いた実験は次年度に実施することとなった。
|