研究課題/領域番号 |
03610070
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
下仲 順子 東京都老人総合研究所, 人間科学・リハビリテーション系心理学部門, 研究室長 (70073004)
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研究分担者 |
中里 克治 東京都老人総合研究所, 人間科学・リハビリテーション系・心理学部門, 研究員 (50110028)
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キーワード | 痴呆性老人 / リアリテイ・オリエンテ-ション / 長谷川式痴呆スケ-ル / 日常生活行動評価表 / 残存機能 / 適応 / 集団心理療法 |
研究概要 |
本研究は特別養護老人ホ-ムに入所している痴呆性老人に集団心理療法の一つであるリアリティ・オリエンテ-ションを施行し、その効果性の評価を行った。参加者は長谷川式痴呆スケ-ルで10.5〜21.5点の中等度痴呆の範囲に属する者から実験群3名と統制群4名を選択した。実験群は全員血管性痴呆に属しており痴呆スケ-ルの平均得点は16.0(SD=2.18)統制群は19.8(SD=4.56)である。リアリティ・オリエンテ-ションは1991年6月から4ケ月間計16回(週に1回、1時間30分)行われた。リアリティ・オリエンテ-ションの効果測定は開始と終了後の1〜2週間以内に実験、統制群に対して長谷川式痴呆スケ-ル、不安テスト、自己評価スケ-ルが実施された。更に日常生活面での適応状況を日常生活行動評価長を用いて実験、統制群の寮母主任が評価を行った。 結果、グル-プワ-ク開始前と終了後の比較では長谷川式痴呆スケ-ルにおいて実験群は上昇(16.0→19.7)が示された。一方リアリテイ・オリエンテ-ションに参加しなかった統制群は下降(19.8→18.0)が示された。不安テストでも同様に実験群は開始前と終了後(24.0→18.3)の比較では不安得点が低い方向に向いていたが、統制群は逆に不安得点が高い方向に向いていた。(25.5→36.8)。なお、自己評価スケ-ルでは実験、統制群共に変化が示されず一貫しており実験群とくらべて統制群の方が良かった。寮母主任による日常行動面の評価では、開始時を0点として終了後の変化率をみた所、実験群は終了後8.1%の改善がみられたが統制群は2.8%に留まっていた。 以上の結果よりリアリテイ・オリエンテ-ションは痴呆性老人の残存機能に刺激を与え、集団生活の中でうまく適応できるように援助することに有効であることが示唆された。
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