研究概要 |
現在、基本構想は3,083市町村において,基本計画は2,836市町村において作成されている(平成2年3月現在)。その作成率は基本構想95%、基本計画87%ときわめて高い。この数字に見る限り我が国の計画行政は定着してといってよい。 市町村における基本構想や基本計画の見直しは,国や県の総合(開発)計画の見直しに連動したり、首長の交替を契機に行われるのが一般的である。作成過程に目を転じると、外部機関への依存が見られるのもひとつの特徴である。そしてしばしばその特徴は作成過程における主体性の欠如に通じている。今年度の調査では、計画行政が定着を見た現在,基本構想や基本計画の主体的活用が課題となっている事態,を確認した。現在,地方自治法第174条や専門委員会設置規則などを績極的に活用し,基本構想や基本計画の主体的作成を志向する市町村もあり、計画行政は新たな段階を迎えている。 政令指定都市の場合にも,総合計画を主体的に活用する方向が顕著に現れている。一例を横浜市に求めていえば、横浜市の場合,行政区ごとに区別計画を作成し、大都市におけるコミュニティの形成に意欲的である。またア-バンデザインを基軸とした都市再生の試みも総合計画を通じて打ち出されている。もっとも総合計画の中に行政区の視点を導入していく試みには、組織機構や権限の在り方などを含む因難な問題も多く存在する。 今年度における調査では、以上の諸点に関する資料と情報を入手し、次年度におけるインテンシィヴな調査課題を確認した。
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