今年度は次の二つの柱を中心に研究を行った。 (1) 政令指定都市における総合計画の一般性と特殊性 (2) 都市と大学の関係をめぐる都市政策の現状と課題 政令指定都市はその人口規模においても都市としての成り立ちにおいても、さらに言えば、政令指定都市としての歴史においても、けっして一様でない。政令指定都市における総合計画は、それぞれの都市の歴史や現在直面する政策的課題においてその内容を異にする。しかしその一方、政令指定都市は現代の大都市に共通する課題にも直面する。国際化、情報化時代の要請を受けて、新たな都市基盤の整備が急務となってきていることは、いずれの政令指定都市にも共通であり、総合計画がそれをどこまで射程に入れるかという点で悩んでいることでも共通である。今年度の研究は政令指定都市のそうした一般性と特殊性の分析に重点がおかれてきた。 今年度におけるもうひとつの重点は、都市における大学の位置に関する研究である。近年都市と大学の関係が各方面で問われているが、都市と大学の関係は都市政策の課題として総合計画の中でも積極的に検討されつつある。そこで今年度は都市と大学の関係に聴取り調査の中心を移し、各都市が都市と大学の関係をどのように位置づけているか、そして今後どのように位置づけようとしているかについてインテンシィヴな調査を実施した。
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