我が国の産業構造の変動はME技術革を起動因としている。今回の調査は東京圏一極集中の多極分散型の国土構造への転換が可能かどうか。あるいはどの程度進展しているのかの実態把握にある。その結論は以下の如くである。 (1)北関東は東京圏機能の受け皿地域として再編されつつある。ハイテク型生産機能ばかりではなく、研究開発機能も一部受容しつつある。このことの含意は、東京圏への組み込みでもある。 (2)札幌を中心とした道央圏は、札幌、千歳、苫小牧を極とした三角型機能連環による(都市機能-住機能-リゾート機能)企業立地誘発アメニティ効果を形成し、圏域型企業立地を進展させてきた。この傾向は熊本市、そしてやや弱いが富山市にも言えることである。この事態は北関東の東京圏への組込みということとは質的に異なる。 (3)北海道北部の下川町は典型的な過疎地域、岩手県の大船渡市は従来型地方小都市、そして島根県松江市は県都でありながら、十分な都市機能を末だ整備してきれていない都市である。これらの地域は三角機能連関から誘発されるアメニティ効果がうすく、企業立地の可能性が少ない。従って内発的発展の地域振興策が探求される必要がある。 (4)結論的には、首都圏における多極分散は指摘可能であるが、我が国全体からみれば、むしろ特定圏域への集中と過疎化の同時進行・併存構造が極端な形で顕著になりつつある。
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