本年度は、研究を開始するために不可欠な以下の準備作業を行った。 1.慶応大学古文書研究室から借用した、第1次的整理が終了している3カ村(岐阜県下旧山中村、旧東改田村、旧有尾新田村)の100ー150年間にわたる宗門人別帳から、人別帳上の単位(世帯)ごとに、年次別の構成状況を一覧できる世帯デ-タファイルを作成した。 2.上記世帯ファイルから、そこに登場する全員について、それぞれの出生、結婚、出産、奉公、死亡などによる世帯内における位座の変化を追跡して、その変化の軌跡を再現した個人デ-タファイルを作成した。 3.専門の機関に集計プログラムの設計を依頼し、それが完成した。 4.個人デ-タファイルを専門機関に渡し、人力作業を依頼した。目下、この作業は進行中である。 5.世帯デ-タファイルから、手作業で戸主(宗門人別帳上の筆頭者)の一覧表、および各村単位に家の系譜関係の整理を行った。 以上のように、本年度においては実質的に研究を開始し知見を得るにはいたらなかった。これは、膨大な量の手作業、依託した集計プログラムの作成、完全には数量化できないデ-タの入力作業のいずれにも予想外の時間がかかったことによる。しかし、来年度6月頃には基礎的な集計結果が出力される予定であり、その取りまとめ、そして私有コンピュ-タによる分析作業を可能になる。
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