本研究は「教育機会の均等化」から「教育成果の達成」へと基本的な政策の比重を移してきている現在進行中のアメリカ教育改革を対象として、アメリカ各州において州教育法改革を中心に積極化してきている州教育政策の動向と、それに対する地方学区の政策動向との関係の諸相を探ることを課題としている。とくに後者の地方学区での政策動向に着目しながら、教育改革のより具体的な実態を探ろうとした。このような課題に応えるために地方学区の政策担当責任者である教育長を対象にしたアンケート調査の実施を研究計画の主要な柱としてきた。 本研究は2年計画の研究であり、本年度はその2年度目にあたる。本年度は初年度に実施したアンケート調査の回収と調査票の整理ならびに結果の分析に主要な重点をおいてきた。 調査の対象は、最新のダイレクトリーをもとに「ゾーン分け抽出法(sampling through zoning)」により、全国12.073学区のうちの12.6%にあたる1.519学区を抽出し、郵送による回収方法を採った。その結果、調査票の回収は312学区(うち無効2学区)であり、回収率は20.5%にとどまった。調査票を回収できなかった州の数は全体50州のうちの4州であり、ほぼそれはもともと州全体の学区数が少なく、したがって調査票送付数そのものが少ない州であった。調査票の回収数が多い順にみると、テキサス州21学区(回収率17%)、イリノイ州19学区(同20%)、ニューヨーク州17学区(同20%)、ミシガン州16学区(同24%)、オハイオ州16学区(同19%)であり、10学区以上の回答数を得た州は14州を数えた。 実施した調査票の調査項目は39項目に及び、単純集計やクロス集計などにより改革動向を探るには今少しの時間を必要とする。
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