研究概要 |
平成4年度においては,以下に述べる事項について,それぞれ以下のような作業を行った。(1)広くアジア諸国を対象として,各国における教育開発政策に関する全般的な資料と基礎的情報の収集作業を行った。(2)アジア諸国のなかからとくに,タイ,バングラデシュ,中国の3ケ国に焦点を当てて,より詳細なデータの収集を行い,それに関する分析を行った。(3)このうち,中国に関しては,研究協力者の一名が現地に長期間,海外研究出張する機会を得たことから,これを機会に将来,インテンシブな調査を実施できる可能性が生じたので,そのための準備作業に着手した。 まずタイに関して,現地の研究者の協力を得て,タイにおける教育政策の動向,人材開発の現状等に関する資料,情報を収集し,今後の研究を展開させるために欠かせない基礎資料をうることができた。また,バングラデシュに関しては,主として初等教育を中心として,その就学率が高まらない原因を検討し,1973年以降導入された小学校の国営化政策の結果,小学校の運営・維持は財政的には安定した基盤を獲得したものの,かえって地域住民の小学校運営に対する関心を低め,そのため小学校が地域社会から遊離するという予期せざる結果をもたらしたこと,これに対して,BRACを中心とするノン・フォーマル教育の方が,地域社会の根ざした教育を実行しており,正規の学校教育以上に高い就学持続率を実現しているなどの結果を明らかにすることができた。 また中国とタイに関しては,開発に関する教師の役割に関して実態調査を行うクエッショネアの原案を作成し,現在その内容についてのつめを行っている最中である。
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