今年度は2つの目標をもって調査を実施し。第一は昨年度にひきつづき青少年指導者講習会(IFEL)の実施に関する資料調査である。お茶ノ水女子大学、東京大学教育学部、国立教育研究所および国立国会図書館において資料を収集した。国立国会図書館の憲政資料室にある「SCAP/GHQ資料」は膨大なものであり昨年度にひきつづきIFEL関係資料の発見、収集そして分析に努めた。またIFELを直接担当した当時の文部省関係者にも会いIFELの意図や実施状況につき聞き取りを行なった。IFELは反軍国主義および民主主義を理解できる指導者を新たに育成し、その後の青少年指導顧問制度を通して社会教育主事の育成と青少年団体指導者の育成の橋渡しをする重要な役割を担っていたことが判明した。中央青少年団体連絡協義会および日本社会教育学会はIFELがひとつの契機となって結成されていることが分かった。 第二は青少年指導者講習会のその後の影響について調査した。これは上記の図書館の他、仙台、京都、福岡、東京の各公立図書館を訪問して各都市における昭和20年代の青少年団体活動に関する資料を収集した。また日本青年館、ボーイスカウト日本連盟、日本YMCA同盟、中央青少年団体連絡協義会など青少年団体の事務所においても同様の調査を実施した。CIEは新しい青少年団体として都市部ではボーイスカウトYMCAに期待し、農村部では4Hクラブを広めて伝統的な青年団には冷淡であった。しかし、IFEL実施の過程で青年団の現実を理解しグループワークの方法論を導入して農村民主化の担い手となるよう期待するようになる。しかしグループワークはそのままでは根付かず青年団は独自に共同学運動を始める。これらの経緯に関る資料については報告書の形でとりまとめる。
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