平成3年度は、「研究実施計画」に沿い、中・高教員を対象とした調査研究のうち、中学校教員対象の調査のまとめと、高等学校教員に対する面接調査を行った。高等学校教員対象調査のまとめは次年度で継続して研究を行うこととした。 研究は、7つの柱で進めた。一つは、教師のストレス構造を明らかにし、その類型化に努め、勤務態度、教職生活意識、ストレス対処行動との関連を究明した。二つは、パインス(pines)のバンアウト天度を用い、その強度と勤務構造、職務態度、人間関係等との関係を明らかにした。 三つは、教師の勤務構造を、学級の構造、校務分掌、勤務の時間的構造から捉え、それらとストレス強度との関連を追求した。ここでは担任する学級においてストレス強度に若干の差異性があり、特殊学級担任教師、問題行動を呈する生徒を抱える教師に、一般教師よりも強いストレスを確認した。四つは、教師のストレス強度と職位の関係に焦点を当てた。大きく管理職と一般教諭とに分けると、予想(仮説)に反して、管理職の方がメンタル・ヘルスは「健全」であった。養護教諭にあっては独特の傾向を示すことも確認された。 五つは、教師の経験年数とストレス強度、バ-ンアウト強度との関連性を追求した。精神的ストレス症状の訴数は2年未満の教師が最も多いなど、いくつかの傾向を把握することができた。六つは、教師と子どもとの関係構造に焦点を当てた。「学級経営がうまくいかない」「授業がうまくいかない」ことがストレッサ-の核であるという仮説の下にこの課題は進めた。最後の柱は、教師の性格傾向とメンタル・ヘルスの関係である。ストレスは性格傾向が「柔軟」や「外向」的よりも、「固執」「内向」的である方が抑制されているという傾向があった。
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