筆者は数年にわたって、海外日本人子女の教育に関する研究成果をもとに、在日外国人子女が日本すなわち異文化の中でどのように生活し、日本文化と接触し、さらに母国文化を獲得・保持しているのか、また彼らのアイデンティティはどうなっているかということを明らかにするために、在日外国人学校に注目してきた。昨年度までは、それぞれの国籍をつよく意識した民族学校(ヨ-ロッパ系およびアジア系)を中心として研究を進めてきたが、今年度は、さらにアイデンティティの問題では複雑な状況を示すであろうと思われる国際学校の特性をもった外国人学校に注目して研究を行なった。 とくに今年度は国際学校のなかでもかなり規模の大きいアメリカン・スク-ル、横浜インタ-ナショナル・スク-ル、カネディアン・アカデミ-を対象とし、各学校の背景、現状、教育理念、目的等について資料を収集、さらに学校長、教師、児童・生徒、父母からも、彼らの経験や考え方を聴取するためにインタビュ-・調査を行なった。海外日本人学校とは異なり、多国籍の児童・生徒の教育機関としての独自の教育実践の実例が見られた。 今後は、このような国際学校の中でも日本人帰国子女が多く在籍する教育機関にさらに注目し、もう一度「国際化」という観点から海外子女教育を再考したい。
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