本研究は、在日外国人子女が日本という異文化のなかでどのように勉学し、日本文化と接触し、さらに母国文化を学習・保持しているか、また、彼らのアイデンティティの問題はどうなっているのかということを明らかにし、ここでもう一度「国際化」という視点から、海外子女教育をグローバルに考察しようとしたものである。 研究対象とした在日外国人学校のなかには、(1)フィンランド学校・ノルウェー学校・スウェーデン学校・インドネシア学校・韓国学校のように母国政府の援助により母国語・母国文化教育をその中心に置くもの、(2)フランス学校のように母体となる政府の援助は受け、教育内容も母国のそれに沿って規定しながら、現実には子供たちの国籍にかかわらず、むしろ国際学校として機能しているもの、(3)聖心インターナショナル・スクールや清泉インターナショナル・スクールのように多国籍の子供を世界的視点から教育しようとする国際学校、そして(4)西町インターナショナル・スクールのように国際学校ではあるが、その主目的として国際的環境のなかで世界的視野をもてる「日本人」の教育をかかげるもの、等その多様性がみられる。 子供たちが、母国文化につながるアイデンティティをもつかどうか、また、現在住んでいる土地の言語・文化にどれだけ接触し人格形成にとりいれるかというのは、それぞれの家族の日本滞在の年数によるだけではなく、どのような学校で教育をうけるかによってその大枠が決定されている。この視点から、さらに日本の海外子女教育の将来の可能性を追及したい。
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