本年度は前年度の知見をふまえ、初級英語における文法的アプローチ(GA)とコミュニカティヴ・アプローチ(CA)との2つの教授法を、より生態学的妥当性の高い学習環境下で実験的に比較検討した。 本年度の実験は次の2実験からなる。 実験1:GAとCAの比較(2)×AET(外人アシスタント)の有無(2)の比較 被験者 小学5年生約160名 主な結果 (1)一般知能に対してCAは補償的に、GAは特恵的に効く「適性処遇交互作用(ATI)が、全研究同様に見いだされた。 (2)CAはコミュニケーション志向の高い学習者に特恵的に効く (3)CAとAETの存在は意欲を媒介として学習効果を高める 実験2:CAとCA+規則教授の比較(純粋なCAとCAに文法的な説明を加味した教授法との比較) 被験者 小学6年生(実験1の被験者の一部)約70名 主な結果 (1)既習英語学力に対しCAは補償的に、GAは特恵的に効くATIが見いだされた。 (2)一般知能に対してCAは特恵的に、CA+規則教授は補償的に効く (3)規則教授を与えるこのにより、学習者の英語学習に対する意識が変わり英語学習でもっとも大切なことは「規則を覚えることである」と認識するようになる。
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