1.日本におけるコメニウス関係文献のリストアップを行い、「コメニウス関係文献目録」として『日本のコメニウス』第1号(日本コメニウス研究会、1991年8月刊)に発表した。これには最近15年間の文献110篇が収録されている。 2.全国の教育系学部を有する国立大学を中心に『世界図絵』を含むコメニウス関係文献の所蔵状況を、質問紙の郵送及び図書館訪問によって調査し、これを『コメニウス関係文献所蔵目録』(B5版39ペ-ジ)にまとめた。 3.コメニウスの教科書についての考えを検討し、「コメニウスにおける教科書観の推移に関する一考察」と題して、日本教育学会第50回大会(1991年8月、東京大学)において発表した。 4.上記の発表原稿を加筆修正し、「コメニウスの教科書観」として、藤田輝夫編『コメニウスの教育思想』(法律文化社、1992年3月刊)に収録した。 5.当初はコメニウスの『世界図絵』を中心にして彼の汎知学思想の発展について検討しようと考えていた。しかし、これまでの調査では大学図書館の所蔵状況は意外に芳しくなくて、新たな版本を発見するに至っていない。そこで『世界図絵』を『開かれた言語の扉』や『事物の扉』などコメニウスの他の教科書と比較検討することにした。その結果コメニウスの教科書には二つの系譜のあることが明らかになった。今後はこの二つの系譜がどのようにして生じたのか、そしてコメニウスの意図した汎知学とはどちらの内容に近いものであったかについて考察することが課題である。
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