研究課題/領域番号 |
03610148
|
研究機関 | 国立特殊教育総合研究所 |
研究代表者 |
太田 俊己 国立特殊教育総合研究所, 精神薄弱教育研究部, 研究室長 (50152145)
|
研究分担者 |
若松 昭彦 国立特殊教育総合研究所, 精神薄弱教育研究部, 研究員 (70230919)
|
キーワード | 障害幼児 / メインストリ-ミング / 統合保育 / 保育意識 / 保育行動 / 幼児園 / 相互交渉 |
研究概要 |
幼稚園・保育園で行われている障害児保育形態である、一般幼児の中に少数の障害幼児のいる状態(メインストリ-ミング)を実効あるものとするため、(1)保育者の保育介入結果に対する認識ー意識性を支援するための方策、ならびに(2)対象児の変容と相互交渉の分析方法の検討を目的として本研究は実施された。方法上は、保育の異なる幼稚園2園を訪問し、行動観察、分析、保育者との協議を継続する方式をとった。 この結果、見出された知見の概要は以下の通りである。 1.研究対象園のA園では、定期的に全保育者の内、1名ずつの保育行動録画映像を基に協議を継続した。この結果、保育上の観点、行動理解の方法、幼児への対応の仕方等について、保育者間の活発な意見交換による検討が成立し、障害児保育に必要と考えられる保育者の観察眼と対応の背景となる保育の意識化、視点の置き方、自己省察等への支援策として有効であることが示唆された。 2.B園においても、定期的に保育者間で協議が行われ、対象児の現況を題材にすることによって、保育上の共通認識、子ども観、対応法に関する多様な見解等の点について各保育者の保育への意識が支援できることが示唆された。 3.対象児の変容、相互交渉分析法の検討については、最少限、対象児周辺と同時に広角での保育場面を背景として録画・観察する必要性が明らかになった。微細な行動分析と行動の背景となる文脈の同時観察という事である。これにより、正確な行動の解釈が可能となる。一方で、保育場面は自由度が高く、一貫した長期間の観察場面設定には無理が大きく、行動変容や般化測定上には、課題を残すところとなった。保育者の意識性支援には、我々の様な外部からの調整者参加に依る所も考えられ、内部の自律的な保育点検のための方策も検討余地がある。
|