本研究は日本および東アジア各地における祖名継承法の比較研究を目的とするものであるが、第3年度から平成4年度にかけてつぎのような研究を実施した。 1.祖名継承法に関する文献資料の収集 (1)祖名継承法に関する論文の収集 最近、人類学・民俗学・歴史学・法律学などにおいて名前の研究がきわめて活発になってきた。そこで今までに刊行されているこれらの論文を複写等によって収集した。 「沖永良部島の祖名継承」「中世村落におけるイエと女性」「女性名からみた中世女性の社会的位置」「ヤオ族の姓と命名法」「アカ族の父子連名制と族外婚」「アカ族の系譜と父子連名」など約80点の論文を収集した。 (2)本研究では日本における祖名継承法の資料集成をひとつの計画として実施している。今年度は奄美・沖縄および日本各地の村落の祖名継承法について、民俗調査報告書・市町村誌などによって資料を収集した。 (3)東アジアの祖名継承法のうち中国の少数民族苗族の祖名継承法について、『苗族社会歴史調査』(貴州民族出版社刊)から、祖名継承法に関連する部分の翻訳を完了した。 2.文献目録の作成 日本および東アジアの祖名継承法について、約100の文献の目録を作成した。 3.祖名継承法に関する現地調査 今年度は鹿児島県、長崎県、静岡県、岩手県、滋賀県、秋田県などの地域の村落において、祖名継承法に関する現地調査を実施した。
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