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大和王権の政治的構造を解明するために、氏姓制成立前後の金石文資料の釈読、およびそれらと『日本書記』・『古事記』に対する戦後の研究の文献目録を集成し、従来の研究の成果と課題を検討した。時期的区分としては、埼玉県の稲荷山古墳出土の鉄剣銘「杖刀人」や熊本県の江田船山古墳出土の大刀銘「典曹人」のような△△人を人制として、第1段階とした。人制は仕え奉るという職務(仕奉)を表わすが、漢語表記で和語読みの可能制が強い。第2段階は、和歌山県の隅田八幡神社人物画像鏡「開中費直」のような過渡的表記。そして、第3段階が確実な部の史料である6世紀後半の岡田山1号墳出土大刀銘「額田部」で、表記は基本的に和語表記となる。
1.文献目録は、【.encircled1.】金石文関係文献目録、【.encircled2.】氏姓関係文献目録として集成し、データベースを作成した。
2.第1段階の人制から第3段階の部民制への変化の過程は、次のように考えられる(部民制としては、【.encircled1.】名代・子代、【.encircled2.】豪族所有部の部曲、【.encircled3.】いわゆる職業部を設定する)。
プロトタイプの名代・子代が契機となり、百済の影響をうけて部の制度が成立した時、漢語表記の人制から和文表記の職業部に変化した。部民制は屯倉・田荘と密接に関連しており、人制と部民制には質的な段階差がある。
3.この過程は、対外的関係からみれば、5世紀の中国的人制から6世紀の百済的部民制への展開として理解することができる。
4.部民制の成立とともに、氏が成立する。氏は、人制の影響をうけており、名負いの氏に本質が現われる。こうした氏の序列を明示するのが。姓(カバネ)である。
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