課題として掲げた研究調査では、次の5点を重点的に実施した。まず第一に、現存するホ-レ-資料をファイルに整理し、体系的に分類を行なった。その結果、資料は10種32項目に分類することが出来た。さらに、これらの資料を作成期日にしたがって、時系列に整理し、資料目録として記録する準備をすすめている。第二に、これらの資料のうちホ-レ-の母JESICAよりもたらされた書簡は103通を数えることが出来た。戦後すぐの状況あって、英国イングランド北部から東京のホ-レ-にもたらされた書簡は、当時の英国の国情と母の愛情を充分に語っている。まずここでは、手書き書簡の全文をタイプ打ちし、その内の約半数について翻訳をすすめた。第三に、戦前と終戦直後のホ-レ-を知る人として照山越子氏、また、戦後のホ-レ-宅のベビ-シッタ-として働いた島袋久氏からの聞書を実施した。この情報は、質と内容の豊かさにおいて上質で、興味の尽きないものであった。筆者はこれらのために、東京・沖縄へ至り、両者との面接聞書調査を実施した。第四に、ホ-レ-が関西において主宰編成した外国人による日本研究の学会「関西アジア協会」について調査を行なった。この学会は、現在全くの未紹介であるが、学会の活動を詳しく調査するために、系列母体としての日本アジア協会(東京都港区青山)での調査を実施した。その結果、ブリテンとして報告された「関西アジア協会」の活動実績を知る資料を探り得た。第五に、ホ-レ-の遺品として残された多くの図書のうち、琉球・沖縄関係図書の行くえの一つである「ハワイ宝玲文庫」について調査し、ハワイ大学に関係図書が至った経緯について詳しく実証的に考察し、研究論文「生活文化研究所年報」(第5輯)において研究結果を明らかとした。
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