(1)古代宮都における内裏関係資料の収集・整理の推進(1)研究費交付以前既に収集済みであった小治田宮〜平安宮に至る内裏を中心とした都城関係史料をPC上で市販のソフトを用いて入力し、デ-タベ-スに整理した。さらに新史料の収集を進めたが、平安宮については史料収集の範囲が六国史と法制関係史料にとどまった。今後一層拡大してゆく必要があるが、膨大な量とそのデ-タベ-ス化には、本科学研究費交付終了後も数度に亙る科学研究費の申請が必要である。(2)宮都における発掘調査の成果については、平成2年度までのデ-タを収集し、整理を進めているが、まだデ-タベ-ス化するには至っていない。(3)平安宮関係の古図等については東京国立博物館等で原本・写本等の調査を行い、写真版も購入した。(2)古代宮都における内裏関係史料の検討及び内裏の構造に関する歴史的研究の推進(1)で収集整理した発掘調査資料のうち、近年内裏の発掘調査で多大の成果を挙げている長岡宮について、発掘調査資料に検討を加え、さらに既にほぼ検討を終了している平城宮や今後一層綿密な検討を要する平安宮の内裏と比較し、長岡宮内裏の空間構造について平城宮から平安宮に至る内裏の歴史的な変遷の中に位置付け得る見通しを得た。その成果は「長岡宮内裏小考」と題して現在投稿中である。また平安宮の内裏についは、鈴木亘著『平安宮内裏の研究』を取り上げて批判的に検討を加えるとともに、『延喜式』の校訂と関わりつつ平安宮内裏の構造に関する検討を進めた。これらの成果についてはそれぞれ「鈴木亘著『平安宮内裏の研究』を読む」・「『延喜式』校訂考証一題」で公表した。今後は(1)で収集・整理を進めている都城関係史料デ-タベ-スを活用して平城宮〜平安宮に至る内裏の歴史的変遷の具体相とその意義の解明に努力する。
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